蔵元の秘蔵っ子 ヴァイツェンボック

理想の味を求めてドイツへ。世界最古の醸造所を訪れる。(1996年)
今回ご紹介するのは、湘南ビールが誕生した1996年から、毎年欠かさず造り続けてきているビールスタイルにもかかわらず、あまり知られていないビールのお話です。その名は「ヴァイツェンボック」。ボックというドイツ南部で主に造られる濃い麦汁を使ったハイアルコールのビールと、ヴァイツェン酵母由来の甘い果実香が合わさった濁りビールです。ボックはドイツ語で雄ヤギを表すため、これを飲むと雄ヤギのように元気になるとヤギデザインが多いのも特徴です。さて、湘南ビールのヴァイツェンボックにはどんなストーリーがあるのでしょう。
湘南唯一の蔵元が始めるビールにはどんなスタイルが良いのかと思案しドイツに渡った6代目蔵元、茂吉。寒く都会的なベルリン周辺ではなく、のんびりとした南部でビール文化が伝統的に根付いているミュンヘン周辺のブリュワリーを飲み歩くことにしました。そこが、湘南といえど田舎っぽく歴史と伝統が息づく茅ヶ崎北部の気候風土と似ていて、自分が理想とするビールの味に出会えそうな気がしたのです。

感動のヴァイツェンボックとの出会い!!
蔵元の勘は的中しました。ある日、出会ったヴァイツェンボックは今まで日本で飲んできたビールとは全く違うフルーティかつ濃厚な味わいで、これこそが蔵元が造る湘南のビールの味だと衝撃を受けました。その後同じく南部で出会った「ヘレス」(その後のピルスナー)と「アルト」の味にも感化され、この3種類で湘南ビールは1996年にスタートしました。
しかしその頃の日本の”地ビール”ブームではまだまだ主流はピルスナーでした。ヴァイツェンボックは湘南ビールのフラッグシップだと意気込んでスタートしたものの、繊細で変化しやすい濃厚な味わいを通年で維持管理するのは大変難しく、主に秋冬の季節限定商品となっていきました。そして、その爽やかなバージョンとして春夏向けにはヴァイツェンを造るようになったのです。
その後、世界のビール市場はアメリカを中心に回り始め、IPAやフルーツを使ったビールなどが人気となり、ドイツの伝統的スタイルのビールは忘れ去られた存在になっていきます。それでも私たちはヴァイツェンボックが大好き。湘南ビールの味の原点であるこのビールに敬意を表し、年に一仕込みずつ大事に造り続けてきました。今年も雄ヤギデザインの湘南ビールが登場すると、思わず味を確かめたくなるこのビール!湘南ビールの秘蔵っ子を是非ご賞味いただきたいと思います。

記念すべき湘南ビールのヴァイツェンボック第一号!! Cheers!!