第一回熊酒隊レポート
爽やかな初夏の陽射しが照りつける田んぼ日和の6月の朝、熊澤酒造の芹沢の田んぼに我こそは!と名乗りを上げてくれた50名の熊酒隊の姿がありました。そう、今日は6年目になる酒米プロジェクトの第三章、体験型企画の記念すべき第一回、田植えの日です。
ここに集うのは20代から60代まで幅広い世代の隊員達。地元茅ヶ崎はもちろん、遠く静岡・埼玉から参加の猛者もいます。共通項は私達がこの5年間続けてきた、茅ヶ崎の水田を守り未来に繋げよう、という壮大な酒米プロジェクトに賛同してくれる仲間であること、そして何より皆んなお酒好き!それぞれの想いでこの企画を楽しみ、「一緒にお酒とビールを造って、乾杯したい!」というやる気と粋なハートの持ち主達ということです。
蔵元茂吉の決起の挨拶、そして我らが農業部のリーダー農太郎の、一同を煙に巻くようなゆらり節の田植えの説明でリラックスした後、2反分を2グループに分かれてスタート!三々五々好きな場所から田んぼに入っていきます。思った以上にぬかるみは深く、新調した長靴がいきなりズブズブとはまって抜けられなくなる男性隊員や、体勢を崩して悲鳴と共にゆっくりと田んぼに消えていく女性隊員など、苦戦しながらも最高に楽しい滑り出し!それでも10分ほどすると少しずつコツをつかみ、20センチ程に育った山田錦の苗が着々と田んぼに植っていきました。
今回の熊酒隊は、単独で参加してくれた隊員も多かったのですが、泥んこで腰をかがめながらの農作業はボーダレス。隣の人と自然に会話も弾んでいきます。途中苗を等間隔で植えるためのガイド紐を移動させていく作業では、頭上スレスレを通る泥だらけの紐を、掛け声と共に全員屈んで見事にクリア!また、田植えの最中に苗が不足すると「苗ください!」の一言で容赦無く”苗爆弾”(農太郎命名)が飛んできてビチャッと泥のしぶきが上がります。そんな一つ一つの作業からもチームワークと笑いの輪が生まれて行きました。
この企画に参加した理由を伺うと、敷地やレストランを訪ねた時に感動した、熊澤酒造の取り組みが好きだったところにこの企画を知ったから、ビールのラベルがイケていてここで働きたいと思っていた、などありがたいお言葉が続々。感謝と同時にこの期待を裏切らないような1年間のイベントにしていかなければ、とスタッフ一同思いを新たにしたのです。
まさに、裸の付き合いならぬ泥んこの付き合い!?で予定通り2時間ほどで2反の田植えを終えました。順調にいけば10月には稲刈りをし、冬の仕込みに備えます。隊員の皆様本当にお疲れ様でした!
かつてこの地域は河童が住んでいたという伝説もあるほど一面に豊かな水田が広がっていた場所です。それが昭和40年代から近代化の名の下どんどん自然が破壊され田んぼも減ってしまいました。僅かに残った水田を守り未来に引き継ごうと6年前にここ芹沢から始めたこのプロジェクトに参加して貰えて本当に嬉しいです。またこの土地に河童が戻ってくるように僕らで頑張っていきましょう。そして美味しいお酒を作りましょう。熊酒隊の原型となるこの一年、皆さんよろしくお願いします!
田んぼで生まれた農太郎語録
1.苗爆弾
「田んぼに入って、植える苗が足りなくなってしまったら今日は無礼講なので、周りの人が投げてあげてください。これを苗爆弾といいます、今考えたんですけど。」→苗爆弾、炸裂してました。
2.非効率を楽しむ
「ルールはあまり決めないでいきましょう。決めると正解不正解が出て来ちゃいますから。今日は非効率を楽しみましょう。」
→世界平和にも繋がりそう!?
3.2畳分の田植えで四合瓶一本分のお米が取れます
今日は何本分植えたなーと思いながらその分のお酒を呑んじゃって下さい!
→交流会で実践者多数!
コロナ禍の2020年に始まった酒米プロジェクト。第一章は借り受けた1反の田んぼを手植えすることから始まりました。そして多くの協力農家さんの力を借り、農業部員の地道な努力で田んぼは広がり、数年で機械を使ったスマート農業へとシフトチェンジした第二章。昨年までに育苗から精米までを自社で行えるようになりました。そして始まった第三章。賛同してくださる一般の方と米作りから始まる酒造りの喜びを分かち合いたい。それが地域の水田を守り、ひいては本当の豊かさに繋がるような丸い輪っかを作りたい。その想いに応えるように挙手してくれた隊員の皆様との出会いから始まったこの企画はスタートしたばかり!これから続く熊酒隊の活躍にどうぞご期待ください!
交流会会場近くでの出来事。ご高齢のおじいちゃん運転の軽トラが、路肩にはまりスタッキングしているのに遭遇。おじいちゃんも運転席で動けない危険な状態に。熊酒隊の力自慢の男性陣ではまった軽トラとおじいちゃんをなんとかレスキュー!熊酒隊はレスキュー隊と化したのでした。ご協力ありがとうございました!
交流会!
田んぼで思いっきり汗を流した後は、徒歩15分ほどの交流会会場へ!湘南ビールの原点・へレスでの乾杯で始まったバーベキュー。農作業の後の一杯のなんと美味しいことか!蔵元はじめスタッフと熊酒隊の楽しい宴が始まりました。自己紹介や趣味の話題などで繋がるご縁や新たな出会いもあり、お酒もビールも進みます。最後に行った豪華賞品(もちろんお酒!)付きクイズ大会では酒米プロジェクトの復習から蔵元のプライベートまで多岐にわたる問題に大盛り上がり。次回ホップの摘み取りでの再会を誓ってお開きとなりました。