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湘南ビール25周年特集

湘南ビールが茅ヶ崎のこの地に誕生して25年。四半世紀という節目に、歩んできた道のりを少しばかり振り返ってみようと思います。

1994年、ビールの製造規制が緩和され、いわゆる地ビール解禁が発表、一方熊澤酒造の酒造りは当時下請けのような状態で、廃業の危機がすぐそこにありました。蔵を再興すべく前年に留学先のアメリカから帰国していた蔵元は、当時当たり前だった出稼ぎ杜氏による酒造りから、地域に住む意欲ある若者を社員として採用し、酒造りに挑むという一大転換を決断しました。しかし経験を積むのに最低5年は必要とされる酒造り。その間を凌ぐ起死回生の策として、酒造りが落ち着く夏の間のビール醸造を決めたのです。そこで、ビールの職人探しのため渡独。地域ごとにビール文化があるドイツを巡り湘南ビールの立ち上げにふさわしい味を探し歩く旅に出ます。その時に出会ったのが、ヘレス、アルト、ヴァイツェンボックというスタイルのビールで、1996年9月の記念すべき第一回の仕込みもヘレスとなりました。お披露目会では、初めて仕込んだビールの完成時には醸造責任者がオーナーにビールかけをするというドイツの伝統行事が行われ、ここ湘南の地に誕生したビールの嬉しい幕開けとなりました。この時ビールをかけたのはドイツで出会い、その後1年半に渡り立ち上げと技術指導にあたることになるヨハン・ノイハウス。蔵元と同い年の若手ブラウマイスターでした。その後彼は世界各地のビール工場の立ち上げで成功し今でも活躍しています。

醸造技術を身につけた社員達の努力が実を結び、1998年にはワールドビアカップで、フラッグシップだったヴァイツェンボックが銅メダルを受賞、初めて世界レベルでの評価を得た瞬間です。続く2000年にも当時バレンタインデー向けに造り好評だった季節商品を出品、見事銀メダルを受賞しました。これが今では黒ビールの不動の定番となっているシュバルツです。こうして2006年頃まではドイツスタイルのビールのみを醸造、定番3種に季節限定ビール1種類というラインナップでした。

2006年、現在の醸造責任者筒井貴史が、蔵元と運命的に出会いすぐさま入社。誰よりもビールを愛する若者の熱意と実行力で、ドイツスタイル以外の、世界のビールも造り始めることになります。そして2011年、藤沢にモキチクラフトビアを開業したのをきっかけに常時8〜10種類のビールが楽しめる現在のスタイルが始まりました。湘南ビールを単なる地ビールではなく、クラフトマンシップ溢れる独自のビールに育てるという蔵元の理想が動き出します。それは、季節の旬を反映することがあまりないビールの世界で、四季折々を大切に酒造りをする日本の蔵元が考えるビールの世界を表現することです。
現在では、定番商品に加え、耕作放棄地に育った柑橘類、レモングラスや山椒など、地元でとれた食材を使ったビールにも挑み、年間40種類ほど醸造しています。それを熊澤ならではのラベルでアーティスティックに表現し、舌にも目にも楽しんでいただきたい。湘南ビールの名に恥じぬ確かな品質とチャレンジ精神で、これからもクラフトビール造りを続けていきます。私たちの挑戦にどうぞお付き合いください!

 

25周年記念復刻!幻の味ヘレス

25年前ヨハン・ノイハウスがしたように、現在のブラウマイスター筒井貴史により行われた蔵元へのビールかけ。嬉しい2度目のお披露目会。

湘南ビールの立ち上げに際し、蔵元は理想の味を求めてドイツを旅し、そこでヘレスというスタイルのビールに出会いました。ところがそのヘレスは徐々に造られなくなり、記憶から忘れ去られてしまいます。25周年の今年、復活したヘレスを蔵元が熱く語ります。

湘南の蔵元が造り出すのにふさわしいビールを追い求めてドイツを旅し南部のミュンヘン周辺のビール文化に出会いました。そこで一番親しまれていた黄金色に輝くビールがヘレスというスタイルで、麦の味わいがしっかり感じられ、ジューシーで爽やかな余韻が気持ちよく、理想の味に出会えたと感じて湘南ビールの第一号にしようと決めました。しかし、当時の日本ではピルスナーというスタイルのビールが主流でした。ピルスナーは、ヘレススタイルのビールを学んだチェコ人が自国の軟質な水と気候環境のもとで再現したビールで、よりクリアーで洗練された味わいが日本では受け入れられていたのです。大手メーカーの主力は全てこのピルスナーでしたし、まだクラフトビールが今ほど認知されていなかったので、当然人々の味覚の領域も今より狭く、ヘレスのモルティな味わいは理解されにくかったのです。徐々に仕込みの回数は減っていき、社内でも忘れられた存在となっていました。しかし、クラフトビールが定着し個性的な味わいが理解されるようになってきた今、満を持して湘南ビールの原点であるヘレスを再現することにしました。

ブラウマイスター 筒井貴史(つつい たかし)

1984年東京生まれ。醸造学科のある専門学校生の時、工場見学で来社し対応した社長に、「高校生の時にビールにはまり、ビール造りを生涯の仕事にすることを決めました。」と熱く語りそのまま入社決定。2006年入社したが、半年で急遽前任者退職という苦難を乗り越えブラウマイスター就任。業界では、その独特な色使いのファッションが筒井カラーとして有名。

ヘレス(Helles)

ヘレスはドイツ南部に位置するバイエルン州を中心として古くから製造されているラガービールです。ヘレスはドイツ語で「明るい」という意味で、きれいな黄金色をしています。
300ml 550円(税込)

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