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庭のこと

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役立つ庭

モキチ鎌倉店の山側の階段を上ると、そこには季節ごとに表情を変えるハーブガーデンが広がっています。ゴツゴツとした山肌と深い緑の中で育つハーブや果樹がここの空気をより澄ませ、思わず大きく深呼吸したくなります。そこはまるで秘密の花園ならぬ、秘密のハーブ園なのです。

そもそもなぜここにハーブガーデンを造ることにしたのでしょう。それは、いくつかのご縁や偶然が重なって実現しました。

3年前のコロナ禍の始まり。なんとなく不安で体調がすぐれない、少し体調を崩しても感染したのではと心配してしまう。そんな不安定な日々を送られた方も多いのではないでしょうか?筆者もその一人でした。このとき救いになったのが、それまでは思いもしなかった、茅ヶ崎山側の散歩です。森林浴をしながら深呼吸をしたり、どこからか漂うジンジャーリリーの香りに思わず振り返って足を止めたり・・。また群生するミントやローズマリーは生命力が強く、少し摘んだだけで芳香を放ちリフレッシュ効果は抜群!細胞が生き返るってこんな感じかな、と実感します。それにあちこちにある無人販売所の朝採れ野菜の瑞々しく美味なこと!週末はリュックを背負って山を散歩して元気になるのがすっかり生活の一部になっていったのです。これって今、凄く大事なことなんじゃないか、と実感した日々でした。

その頃ちょうど、すでに所有していた鎌倉の敷地の山側で何が出来るのか思いを巡らせていました。それならばかつて児童遊園だった山側の平地にはハーブガーデンを造り、毎朝新鮮なハーブや野菜を収穫して目にも体にも優しい料理や飲み物をご提供したいと思ったのです。そしてお客様がガーデンを自由に回遊し楽しまれることで、この場所が単なるレストランではなく五感で感じる特別な空間になると確信しました。

そんな時、オケバスタッフからアロマテラピーやハーブを生活に取り入れた第一人者が茅ヶ崎在住で、大ファンで交流があることを聞き、そのご縁もあり一気に現実感が増したのです。

さあ、計画は動き出しました。まずは、熊澤の庭造りを全て担当してくれている船平さんに相談。あるがままの自然を生かした、船平さんの庭造りが始まリました。

コンセプトは”役立つ庭”。ただ見た目が良いだけの庭ではなく、全て何かに使える植物であること。階段を上がると、まず目に入るのは瓦で見事に模様を描いた石畳。使わなくなった姉夫婦の家の瓦を再利用しました。第一のガーデンには主にレストランで使えるハーブを。毎朝摘まれるハーブはドリンクに料理にと大活躍です。小さなハウスのある第二のガーデンや傾斜地には主に実のなる植物や果樹を。鬱蒼とした山の斜面を整地し、柚子やレモン、珍しいベルガモットやピンクペッパーを植えました。そしてどちらの庭も周囲にはリース作りやウェディングで使える植物も植えました。

船平さんは言います。「ここで挙げる結婚式では、ブーケからテーブル装飾まで全てこの庭の植物でやりたいんです。そして大事なのは新郎や新婦にブーケ作りや式が終わった後に使った木の植樹にも参加してもらうこと。植物の成長を見届けて欲しいから。」と。そう!それこそがモキチ流優しい緑の循環。モキチ鎌倉にいらしたら、それぞれに役割を与えられた植物の楽しげな会話を聞きにこの”役立つ庭”を訪れてみてください。

熊澤の庭師 船平 茂生(ふなひら しげお)

1972年生まれ。
plantas代表。
熊澤の庭造りを全てお任せしている。大切なものを見失わない庭造りと優しい人柄で、おおらかに植物の成長を見守る。毎年リース作りワークショップはすぐに満席になる人気イベントに。

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