3年目のスタートライン
熊澤酒造の酒米プロジェクトも、昨年秋に無事3度目の収穫を終えました。初めは素人集団の無謀な取り組みに疑心暗鬼で様子を見ていた農家さんたちも、農業部のメンバーが農作業しているのを当たり前に見てくれるようになり、同じ目線で米作りの話もできるようになりました。収穫はもちろん、この全ての営みの輪が将来に繋がっていくことで、僅かに残っている田んぼを未来に残すという大きな役割を果たしていくことになるのです。
2年間のいわば研修期間を終え、ようやくスタートラインに立った感がある昨年度の米作り。どのくらいの収穫があったのか?新たにメンバー入りした頼れる相棒とは?今回はどんなアクシデントが起きたのか、あのカカシって効果あったの?などなど、酒米作り’22秋をレポします!
昨年度、酒米プロジェクトは芹沢、赤羽根、寒川の3カ所で合計2町歩=20反(6000坪)に広がりました。これは、新しく赤羽根地区2反と寒川の耕作放棄地10反を任されることになったからです。
育てた酒米の種類は、難しいと言われる原種の雄町が6反分、それ以外が五百万石です。そしてその他に協力農家さんが8町歩の田んぼで酒米作りをしてくれることになりました。一昨年は3町歩ほどだったので倍量をやってくれることになったのです。結果、熊澤分と合わせると10町歩の田んぼをやったことになり、目標である30町歩の1/3量の耕作を実現できたということになるのです!これは、蔵の1年分の生産量(一升瓶9万本)の1/3をまかなう量ということで、3年前は夢物語りのようだった、お酒全量を地元産米で、と言う目標が実現する日もそう遠くはなさそうです!
さて、収穫量はというと、、、。一般的に酒米の場合1反で7俵(1俵は60kg)の収穫が合格ラインと言われている中、6.5〜7俵というギリギリの結果となりました。この原因はたわわに実った穂をスズメに食べられる被害が深刻だったことや、耕作放棄地ゆえ土地が緩んでいて端まで稲を植えられず生産量が減ったことなどが挙げられます。ただ、2年目の一昨年の悲惨な結果と比べると、他の農家さんと同じくらいの収穫率にやっと追いつくことができたと言うことになります!少しづつ進歩していることに間違いはありません。
こうして失敗を経験することで、その対策が見えてきます。失敗も成功も全ての経験が今後の酒米作りの糧となるのです。
すべての田んぼが会社から軽トラで5分とアクセスよし!
酒米作り3年目が終わり、田んぼの癖のようなものがわかってきて、それぞれ問題や対策が見えてきました。
芹沢地区
酒米プロジェクトスタートの地。熊澤酒造の裏手に位置する。弥生時代から脈々と続く原風景が最も残っている。育苗・乾燥・トラクター置場などの主要施設を有する酒米プロジェクトの中心地。
赤羽根地区
日当たりも水捌けも良く晴れた日にはドーンと富士山が眺められる好立地の映えスポット。今年度は2反から8反に増えます。昨年度は原種雄町に挑むも育ちすぎて倒伏するアクシデントが。今年は何に挑戦するのか思案中。
寒川地区
昨年度10反を任されるも、水捌けの悪さで機械がスタックするなど大苦戦。プラス耕作放棄地が点在し水路が詰まっていたりして、いかに周囲とのトラブル無く水を引き込むかが勝負所。そして、ショッキングピンクでグロテスクな天敵、ジャンボタニシとの格闘が行われた。今年の作戦やいかに。