イベントに寄り添う草花
熊澤酒造の敷地内の木々や草花は、1年を通して開催されるイベントに合わせ て、そこが自分たちの舞台であるかのように美しい姿を見せてくれます。
春が訪れ新しい生活が始まる頃。酒蔵の裏山を上がり、もあな保育園に通い始めた園児をお迎えするように桜が咲き出します。トップバッターは入口のアーチ右横のピンクの陽光桜。中庭では吉野桜が、駐車場やオケバ前では鬱金桜(ウコンザクラ)が薄いグリーンの花を咲かせていきます。そして、4月の蔵フェスに合わせるように、今年は例年よりも早く真っ白なナニワイバラが咲き乱れました。4年ぶりの開催をいち早くお祝いしてくれたのでしょう。それが終わると、新緑が眩しいほどに敷地全体を覆います。一年で最も気持ちの良い季節かもしれません。その頃ちょうど、ウィスキー熟成倉庫前の藤棚には、可憐なアメリカフジが初めて濃い紫の花を咲かせてくれました。初夏の風が心地よいこの頃から秋にかけて中庭テラスで開催されるビアガーデンは、そんな草花を愛でながらのんびりと乾杯できるのも魅力です。
梅雨が近づいてくると、天青に向かう道すがら柏葉紫陽花が見事に花を咲かせます。一雨ごとに大きく育つ様はたくましくもあり、この時期の庭の女王のようです。そしてもう少し季節が進むと、オケバ前のヤマモモの大木には真っ赤な実がたわわにつき始めています。夏前には皆で収穫し、果実酒やビールになってお店に並ぶのが楽しみです。中庭に視線を戻すと、そろそろモキチトラットリアの前のティーツリーには真っ白な小花が雪のように花を咲かせている頃でしょう!そして庭の入口付近では赤や緑のスモークツリーがモジャモジャと生い茂り、思わず足を止めてそのユーモラスな姿を見上げては頬が緩んでしまうのです。そして、本格的な夏の到来。カフェ前のピンク色の百日紅(サルスベリ)がその名の通り長く花を咲かせてくれます。
10月のオクトーバーフェストでは、まだ緑濃いメタセコイアの大木の下で圧巻のライブが行われます。熊澤酒造のどのイベントもこの中庭なくしては成り立ちません。その後秋が深まると、メタセコイアは茶色みを帯びて庭はシックな装いへ。ザクロの実が弾けて中から真っ赤な実が覗くと豊かな秋の実りに感謝する季節の到来です。じきにメタセコイアは落葉し、一面茶色の絨毯に。その上に重なる赤や黄色の静かな色合いはとても心を落ち着かせてくれるものです。そして12月。この庭を造ってくれた船平さんの出番です。毎年各店舗はナチュラルなリースや大胆なお正月飾りで華やぎを増します。
年が明け、紅白の梅の花があちこちで咲き誇り始めると庭はまた春を迎える準備で大忙しです。カフェの前のトキワマンサクが色付き、今年から2月開催となったくまざわ市に花を添えます。そしてもうすぐそう、入口には見事な黄色いミモザのアーチが出来上がりお客様を堂々とお迎えすることでしょう! 木々や草花が主役の、熊澤酒造の庭。いつも私たちの仕事に寄り添い、季節ごとの素晴らしい景色を共に作ってくれる素敵な仲間たちです。
庭便り01
花々が咲き誇る春、ガラス窓にふと映ったその姿や散った花びらの絨毯の美しさにハッとさせられることも。自分だけの景色を見つけてみてください。
庭便り02
敷地内の梅を使ってお酒やジャムに、枇杷やざくろはデザートに。ヤマモモは今年はビールになりました。(ご紹介はビールのお話にて)