第二章スタート
日差しは眩しいほどにキリッと、でも風が強く肌寒さも感じられる5月初旬、4年目を迎える酒米プロジェクトの田植えが始まりました。自分たちで育苗した苗は青々として、この日の青空にバッチリ映えています。もう田植え機だってお手の物!のはずが、苗が上手く水田に植わらず、トラクターの後からプカプカ流れ出すいきなりのアクシデントで幕を開けたのも私達らしいハプニング。さあ、米作り4年目はどんなドラマが待っているのでしょう。
この3年間、農業部員たちは地域の農家さんに信用を得られるように真摯に米作りに取り組んできました。その努力が実を結び、同じ目線で米作りの話もできるようになりました。すると高齢化が進んでいたこの地域で、熊澤に田植えから稲刈りまで任せても良いという農家さんは一気に増えていき、今年の田植えは自社で管理する田んぼが3.5町歩(1万坪以上!)にまで広がりました。それに協力農家さんの酒米8.5町歩分と合わせると、トラブル無く進めばお酒の全生産量の約40%を地元産米で賄えることになるのです。赤羽根地区では、40反の田んぼのうち約1/3で五百万石を作ることになりました!
耕作放棄地や後継者のいない田んぼを耕し、思い描いていた風景がだんだんと実現していくということは、この地域に僅かに残った水田地帯を未来に残していくことに繋がっていきます。広大な土地をやるのですから、当然機械を入れてスマート農業にシフトチェンジする必要も出てきます。酒米プロジェクト第二章が始まりました。
新種にチャレンジ
さて今年挑戦した酒米は、従来の雄町・五百万石に加え山田錦と、神奈川ではまだ育てているところがない春陽という4つの品種です。この3年間で経験した失敗や成功から学んだのは、”土地に合わせた品種を選ぶこと“、そして”地域で品種をかためて効率よく行うこと“、です。
赤羽根、芹沢、寒川の3カ所の田んぼは4月末に赤羽根、5月に芹沢、6月に寒川に順に水が入ります。これに合わせ赤羽根は全て早生の五百万石、芹沢には同じく早生の春陽と五百万石を植えました。晩成の雄町と山田錦は6月に水が入る寒川でゆっくりと大きく育てます。米にも適材適所があるというわけです。9月から順に、頭を垂れた黄金色の稲を収穫し酒造りに入っていきます。
無農薬栽培奮闘記
そんな作戦も立てられる程になった4年目の農業部がもう一つチャレンジしたのが、芹沢地区の3反で行った無農薬栽培です。無農薬の秘密兵器として昔から活用されていたのがレンゲ草です。除草剤の代わりに種を撒いて敷き込むと油膜ができて日差しが入らなくなることで雑草が生えにくい環境となるとともに、マメ科のレンゲ草は肥料にもなるのです。地球と私たちを結ぶ大きな輪の中で始める、未来を見据えた熊澤流サステナブル農業を模索していきます。
とここまでは、調子良く語れた無農薬栽培だったのですが・・・。7月に入りみるみるうちに、最強の雑草軍団がはびこってきたのです。これは大ピンチ!レンゲ草の種を撒くのが遅すぎだとレジェンド達からのご指摘をいただき一同意気消沈。しかし新しいチャレンジにトライ&エラーはつきものです!ただ諦めるのも悔しいので急遽雑草取りマシーンのミニエースを中古で見つけて地道な除草作業を行いましたが、取りきれなかった雑草が再び嘲笑うかのように顔を出してくるのでした・・・。初の無農薬栽培への挑戦は惨敗の可能性大ですが、失敗は成功の始まりと信じてこれからもレポしていきますので、応援よろしくお願いします!
保管倉庫・精米工場設立へ!
さらにもう一つご報告があります。収穫量が増えたことで、自社に米保管倉庫と精米工場が必要になったのです。米保管倉庫はパーキングのスペースを整理し場所を捻出してなんとか完成することができました。精米工場は来年完成予定となっています。これには相当な広さと資金が必要になりますが、そうまでして何故我々は酒米プロジェクトにこだわるのでしょう。