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日本酒のお話

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蔵元の未来を切り拓く酒 -河童シリーズ

河童徳利伝説

むかしむかし。働き者の五郎兵衛さん、ある日腹を減らした河童が愛馬にかぶりつくのを見て捕まえた。けれど事情を聞くと可哀想になり、河童を逃がしてやることに。すると河童はお礼にと、いくらでも酒が溢れ出す徳利をさしだした。大のお酒好きの五郎兵衛兵さん、朝から晩まで酒びたり。怠け者になってしまう。けれど痩せ細った愛馬をみて、心を入れかえ元の真面目な働き者に戻って幸せに暮らしましたとさ。

創業140周年を迎えた2012年。ここで一度自分達の原点に回帰しようと蔵の歴史を紐解くことになりました。 始まりは明治5年。裏山の奥に広がる田んぼで取れた食用米と、蔵に浮遊する天然酵母でどぶろく状の酒を仕込み、翌年から本格的な清酒が誕生したとのこと。その創業時のどぶろくを作ろうと、蔵元の同級生の実家の農家(P5で前述の常盤さん)を頼り米を分けてもらい、敷地内に浮遊する野生酵母を採取し、半世紀ぶりの地元産の米による酒造りが始まりました。こうして地域に語り継がれる酒にまつわる昔話「河童徳利」をモチーフに『河童のどぶろく』が誕生しました。その2年後には、初の茅ヶ崎産の酒米(五百万石)を農家の大竹さん(P5で前述)に作ってもらい、『河童の純米吟醸』が誕生したのです。河童シリーズは蔵元の未来を切り拓く酒としてこれからもチャレンジを続けていきます。

第3弾 新作!「河童の貴醸酒」

さて、その河童シリーズから新作のご紹介です!シリーズ第3弾は「河童の貴醸酒」というお酒です。

蔵では年に1度だけ、若手の蔵人が自分の造りたい酒をプレゼンし、その勝者に小さなタンク1本分だけ責任醸造させる「蔵人チャレンジ」という取り組みを行っています。その第1回目の勝者、蔵人・丸田有仁が仕込んだ貴醸酒が、チャレンジングな河童シリーズにふさわしいということで4月よりごく少量ですが販売することになりました。

地元産米、自社酵母、酒で仕込んだスペシャルな貴醸酒を3年間オーク樽で寝かせ、とろみの中にオークの香りをまとった琥珀色の酒。これは若い蔵人の熱意と、3年という月日の結晶です。その美しさも愛でて頂きたいので、ラベルはあえて裏側から河童がひっそりと。

蔵元の未来を切り拓くチャレンジ精神溢れる河童シリーズにしていこう!そんな想いも皆様に届きますように。

蔵人チャレンジ 丸田 有仁(まるた ゆうじ)

1988年秦野市生まれ。東京バイオテクノロジー専門学校から新卒で入社、日本酒醸造担当。
職人気質に溢れ黙々と打ち込む姿が素晴らしい。言葉はいらないとばかり寡黙で声の小ささは社内No.1。パンクをこよなく愛するぶっ飛んだ一面も併せ持つ個性派だ。

河童の貴醸酒

地元産の五百万石という酒米と自社酵母を使って仕込んだ貴醸酒を、ホワイトオーク樽で熟成具合を見極めながら数年寝かせた数量限定のお酒です。貴醸酒特有の濃醇な甘さと自社酵母のキレのある酸が熟成により調和し、ホワイトオーク樽特有のバニラやカラメルの香りと合わさって、より複雑で奥深い味わいとなりました。

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