人形
今回は、オケバ ギャラリー&ショップにやって来る、様々な人形やオブジェたちのお話しです。
動物だったり、人だったり、謎の生命体だったり・・・この店の扉をくぐるのは、各国から集まってきた時代も素材も様々なモノたち。
「オケバらしさ」をコンセプトにやって来ては、お客様がその魅力に胸を打たれてご購入になり、旅立って行きます。それらの中でもオケバにやって来る「鳥」や、シンボルとして愛されてきた「馬」についてその歴史やストーリーを交えて、ご紹介しようと思います。
例えば「トナラ焼き」という焼き物の人形。よく見かけるのは、鳥や魚、猫などのモチーフのもので、今回も鳥が2匹、オケバにやって来ました。
トナラ焼きは、メキシコのトナラという街で作られている焼き物です。トナラには沢山の焼き物工房があり、素朴でぬくもりのある陶器を生産しています。1519年から約300年にわたるスペイン統治時代より以前から存在していた焼き物ですが、スペインからもたらされた技術やその後の焼成技術の向上により、古いスタイルから現在のスタイルに変化していったと言われます。
目が合って、「この子は……」と思った時は、きっと心と心が通じ合った一期一会の出逢いなのかもしれません。
もう一つご紹介したいのが、ご存知の方も多いスウェーデンのダーラナホース。これは、その名の通りスウェーデン・ダーラナ地方発祥の伝統工芸品の木彫りの馬で、幸せを呼ぶ馬として昔から愛されてきました。18世紀の初め頃、木こりたちが仕事が終わった後に、遊び半分で作った木馬が始まりといわれています。木こりたちは様々な動物を作ったのですが、馬は優しく賢くて力が強い生き物として昔から大切にされており、好んで作られたと言います。次第に子供たちのおもちゃとして定着していき、よく見かける赤い色が塗られるようになったのは、19世紀になってからだそうです。
オケバにやって来たダーラナホースはどうやらこの場所をとても気に入ってくれたので、非売品となってお店を見守っています。
このように、それぞれの国の歴史や風土を背負って今も人から人へと渡され愛されている人形たち。あっという間に数日の滞在で旅立つ子もいれば、数ヶ月〜数年滞在して行く子もいます。
特に滞在が長い場合は、掃除の度に話しかけたり、作家さんの展示の彩りとして飾らせてもらったりと愛着も湧き、いなくなると寂しいものです。きっと様々な人の手に渡りながら、想いのようなものが詰まって人形を形成する一部となるのでしょう。
古道具に宿るそんな存在感を感じながら日々道具たちに触れ、スタッフも愉しんでいます。
自由な眼と柔らかな心で、その中に在る道具のこころを感じ取り、また次へと繋げて行く。
そんな感性を呼び起こすきっかけとなる場でありたい。オケバはそう考えます。