モキチフーズガーデン編
フーズガーデンの店内外には、レトロな建物をより一層引き立てる古モノがあちこちに散りばめられています。店のリニューアルを経てなお残り続けるよりすぐりのツワモノ達をいくつかご紹介します!
フーズガーデンはレトロな木造の建物ですが、店には単なるレトロ感とは一線を画すインダストリアルな雰囲気も漂い、全体をモダンに見せてくれています。その空気感に欠かせない機械部品は、80年以上にも渡りここで働き続け、21世紀初頭にその使命を終えたものです。残っていたそれらは、新たな使命を与えられ今でも店内外の至る所で独特な存在感を漂わせます。
例えば敷地入口で夕闇の中ボーっと鈍い光を放つ看板。これは精麦機の部品に照明を入れて看板として再利用したものです。また店の正面レジカウンターの台の下部もよく見ると大きな部品であることがわかります。その他入口左手のパン屋でも隠れミッキー的に使われているのでご注目!また入口横の黒い機材は、工具室に残っていた旋盤です。骨太なイケメン、かつては相当な働き者として頼られていたのでしょう。今ではお客様を最初に出迎えるポジションを陣取って活躍中です。これらインダストリアルな部品達は、店に欠かせない名バイプレイヤーとして第二の人生を謳歌しています。
- 工具室に残っていた旋盤
- 看板として利用している部品
- 正面レジカウンターの下の台

本棚を飾る蔵元夫婦の両祖父の蔵書
続いては、店内一番奥、中2階部分にずらっと並んだ古い蔵書達です。大本棚については前述しましたが、そこには、蔵元夫婦のそれぞれの祖父の蔵書を納めることにしました。お酒の本から画集や全集・哲学本などなど、先祖の思い出とともにひっそりとこの店を見守っています。それでも埋まらなかったスペースには地元の古本屋さんに選書していただき、ここは単なるインテリアにあらず、関わる人々の趣味趣向が凝縮された玉手箱となっているのですね。最後に個室とフロアを仕切る大ガラス扉。これは、同じ茅ヶ崎の熊澤醸造さんの廃業時に醤油工場から譲り受けたものです。今では作ることのできない歪みガラスが何ともレトロであり優しい風合いです。
こうして古いモノを活用し、いつの間にかそれがお店を作る大事な要素として生まれ変わっていく。廃棄するのは簡単だけれど、古モノを愛する気持ちと見極める目を持っていれば、創意工夫で新たに役を与えて蘇らせることができる。そうして新しい生命を吹き込まれたモノは誰も真似のできない独特な光を放っていく。20年前に挑戦したR-プロジェクトの粋の極みを感じていただけたらと思います。

今はなき熊澤醸造さんの醤油工場の古いガラス扉