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古道具のある暮らし

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樽のおはなし

okeba gallery&shop

熊澤酒造敷地内奥の一角に佇む okeba garelly&shop。大きい建物の外観は入り口だけ仕切られた区画の内側を向いており、古い建具のドアが鉄筋コンクリートの雰囲気を柔らかくして迎えてくれます。中に入ると奥行きが広く、空間は見上げるほど高く、ちょっと教会のような雰囲気です。その向かって右側に天井を見上げたまま首をずらすと、一風変わったカタチの桶がたくさん並んでいます。これはまさにオケバの桶なのです。

okebaはその昔、酒造りに使用していた桶を制作・修繕する「桶場」だったのです。日本酒を醸造する場面を思い浮かべると、まるで人が小人のように見える大きな樽がまず想像されるかもしれません。それももちろんここで造っていましたが、醸造に使われる道具はそれだけではありません。昔と今では大分様変わりしたものの、その多様さは驚きとともにユニークでもあります。桶もそのひとつです。

「キツネ」と呼ばれていた酒造りの道具

さて、ずらりと並ぶ歴代の桶の中に、先のとがったフネのような形の桶があります。これは「キツネ」と言いまして、形がキツネみたいだからですね。出来上がった麹を酒袋に移すときにこれですくいました。対となる「タヌキ」という桶もありまして、用途は同じです。「タヌキ」の方は形が普通の桶のようなまあるいフォルムです。また同じ用途のものに木でできたいかにもすくう形の道具があります。こちらも桶と一緒に並んでいます。

いろいろな種類のダキダル

その道具たちのささやき声はよく耳を澄ませれば聞こえて来そうです。その時代の熱気、音、匂い…。道具たちが整然と並ぶ姿は、蔵人たちの息遣いをそこに蓄積しただけの遺物ではなく、現在の私たちの声にも耳をそばだてて記録し続けているのかもしれません。とても大切なシンボルなので、お売りすることはできませんが、是非okebaを訪れた際には彼らを見上げて醸造の歴史に思いを馳せてみてください。

現在のokeba店内の様子

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